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宇宙背景マイクロ波放射(Cosmic microwave background:CMB)
宇宙の全方向からほぼ均等に観測されるマイクロ波の放射のこと。宇宙マイクロ波背景輻射または3K背景放射ともいう。1964年にアメリカのベル研究所に勤務していた物理学者アルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンが偶然発見した。現在ではビッグバン理論の重要な論拠の1つに位置づけられ詳細な解析がなされている。
歴史
宇宙マイクロ波背景放射の存在は1940年代にビッグバン理論の提唱においてジョージ・ガモフが理論的にその存在を予言していた。1964年、天文観測で用いられるアンテナを点検していたアルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンは継続的でかつ予想されるレベルよりも遥かに強いノイズを発見し、アンテナに付着していた鳩のフンなどあらゆる観点からノイズの発生源の究明に挑んだが原因を突き止めることはできず、彼らはどの方向からも一定に観測され時間変化のないこのノイズを宇宙由来のものと結論づけ論文で発表した。間もなくしてこれがビッグバン理論で予言され、長年探し求められていた宇宙マイクロ波背景放射であることが確認され、その功績から2人は1978年にノーベル物理学賞を受賞している。
発生原因
ビッグバンから38万年ほど経過した宇宙は約3,000Kという比較的低温となり、高エネルギーのために電離していた電子と陽子は結びついて水素原子が生成され、これまで荷電粒子に妨害されてきた光子が直進できるようになった(宇宙の晴れ上がり)。この頃に発せられた光は赤方偏移によって波長が伸びて現在は宇宙マイクロ波背景放射として観測される。
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観測結果
・宇宙マイクロ波背景放射の放射温度は-2.725Kで-270.4℃の黒体放射に等しい。
・1989年に打ち上げられた宇宙背景放射探査機(Cosmic Background Explorer:COBE,コービー)の観測により平均温度から10万分の1程度の温度差という異方性が確認され、2001年に打ち上げられたCOBEの後継機であるウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe:WMAP)の観測結果から全天の詳細な温度分布が明らかとなった。2009年に打ち上げられた人工衛星プランク(Plank)はWMAPを超える高感度・高分解能の観測装置により高い精度で異方性の観測に成功した。
・宇宙マイクロ波背景放射の異方性すなわち「揺らぎ」は初期の宇宙が均一ではなかったことを示しており、宇宙初期での暗黒物質の分布が影響していると考えられている。
・宇宙マイクロ波背景放射の異方性から宇宙の年齢・組成やハッブル定数・宇宙定数などの詳細なパラメータを高い精度で測定することができた。人工衛星プランクによる2013年の観測データによれば通常の物質が4.9%,ダークマターが26.8%,ダークエネルギーが68.3%、宇宙の年齢は137.98±0.37億年と推定されている。
補足情報
・マイクロ波以外にも赤外線やX線の背景放射が存在しており、いずれも発生原因は異なる。
宇宙背景マイクロ波放射(Cosmic microwave background:CMB)
宇宙の全方向からほぼ均等に観測されるマイクロ波の放射のこと。宇宙マイクロ波背景輻射または3K背景放射ともいう。1964年にアメリカのベル研究所に勤務していた物理学者アルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンが偶然発見した。現在ではビッグバン理論の重要な論拠の1つに位置づけられ詳細な解析がなされている。
歴史
宇宙マイクロ波背景放射の存在は1940年代にビッグバン理論の提唱においてジョージ・ガモフが理論的にその存在を予言していた。1964年、天文観測で用いられるアンテナを点検していたアルノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンは継続的でかつ予想されるレベルよりも遥かに強いノイズを発見し、アンテナに付着していた鳩のフンなどあらゆる観点からノイズの発生源の究明に挑んだが原因を突き止めることはできず、彼らはどの方向からも一定に観測され時間変化のないこのノイズを宇宙由来のものと結論づけ論文で発表した。間もなくしてこれがビッグバン理論で予言され、長年探し求められていた宇宙マイクロ波背景放射であることが確認され、その功績から2人は1978年にノーベル物理学賞を受賞している。
発生原因
ビッグバンから38万年ほど経過した宇宙は約3,000Kという比較的低温となり、高エネルギーのために電離していた電子と陽子は結びついて水素原子が生成され、これまで荷電粒子に妨害されてきた光子が直進できるようになった(宇宙の晴れ上がり)。この頃に発せられた光は赤方偏移によって波長が伸びて現在は宇宙マイクロ波背景放射として観測される。
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観測結果
・宇宙マイクロ波背景放射の放射温度は-2.725Kで-270.4℃の黒体放射に等しい。
・1989年に打ち上げられた宇宙背景放射探査機(Cosmic Background Explorer:COBE,コービー)の観測により平均温度から10万分の1程度の温度差という異方性が確認され、2001年に打ち上げられたCOBEの後継機であるウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe:WMAP)の観測結果から全天の詳細な温度分布が明らかとなった。2009年に打ち上げられた人工衛星プランク(Plank)はWMAPを超える高感度・高分解能の観測装置により高い精度で異方性の観測に成功した。
・宇宙マイクロ波背景放射の異方性すなわち「揺らぎ」は初期の宇宙が均一ではなかったことを示しており、宇宙初期での暗黒物質の分布が影響していると考えられている。
・宇宙マイクロ波背景放射の異方性から宇宙の年齢・組成やハッブル定数・宇宙定数などの詳細なパラメータを高い精度で測定することができた。人工衛星プランクによる2013年の観測データによれば通常の物質が4.9%,ダークマターが26.8%,ダークエネルギーが68.3%、宇宙の年齢は137.98±0.37億年と推定されている。
補足情報
・マイクロ波以外にも赤外線やX線の背景放射が存在しており、いずれも発生原因は異なる。