基礎知識データベース

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概要

あくび(欠伸)は入眠前や疲労,退屈やストレスなどでよく起きる生理現象で哺乳類や鳥類,爬虫類にも広く起きる。具体的には脳波の一時的な覚醒化や血圧の低下があくびに先行して発生し,次にあくびが生じて交感神経活動の抑制,深吸気と開口運動が行われ,その後は自律神経系の変化により流涙や勃起の誘導が見られる。このように,あくびではいくつかの生理現象が複合的に発現する。あくびの発生は中枢神経系によって制御されており,特に視床下部の室傍核が重要な役割を持っていると考えられており,室傍核の刺激によってあくびの増加が報告されている。現在もあくびの役割について詳しく明らかになっていないが,起床時や入眠前または退屈な時に誘発され,それに伴い脳波の覚醒が見られることから注意水準を向上させる為の生理現象ではないかと考えられている。

あくびの伝染
"あくびがうつる"ことが経験則で広く知られている通り,あくびが伝染する現象は研究で明らかとなっている。人は無意識に他者の行動を模倣する共感性を有しており,家族や恋人、友人などの親しい間柄であるほど伝染しやすい。また,ヒト以外であるチンパンジー同士や犬と飼い主といった異種間でもあくびの伝染は確認されてる。これらを裏付けるように共感能力の低い幼児や自閉症児にはあくびが伝染しにくい事が知られている。

脳との関連性
あくびは脳の血液循環と関連性があり,脳内の虚血や低酸素状態があくびを誘発させる事が明らかとなっている。あくびは脳炎や脳腫瘍などの脳疾患をもつ患者に頻繁にみられる事が臨床的に示されており,脳卒中や脳出血の前兆としてあくびが頻発するといった例もある。また,起床時にあくびが頻発するのは起立性低血圧による脳の血液循環低下によるものである。

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