基礎知識データベース

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医療器具・機器

データ
全長:9.7m
幅:2.8m
高さ34.1m
重量:26.7t
最大潜航深度:6,500m
最大速力:2.7ノット
潜水速度:約45m/分
乗員数:3名(うちパイロット2名)

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概要
・現在運航している潜水船の中で2番目に深く潜水できる有人潜水調査船。
・国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有し,2004年以降は日本海洋事業(株)に運用を委託している。
・運航開始は1991年から
・1989年11月28日に三菱重工業の神戸造船所で完成し2014年までに1,411回の潜航を行っており,日本近海のみならず世界各地で活動している。
・名称の通り水深6,500mまでの潜水が可能である。水深6,500mで調査できる領域は世界の海洋の約98%,日本の経済水域内では約96%に相当する。
・多くの潜水調査船は深度6,000mに設定されているが,他の潜水調査船よりも500m深く潜るように設計されているのは日本海溝にある水深6,200~6,300mで発生すると考えられている地震調査のためである。
 
目的
・巨大地震発生メカニズムの解明
・深海生物の研究や保全
・地球の歴史的な環境変動の調査
 
構造
・コックピットは内径2mのチタン合金でできた球形の耐圧殻内にある。球の真珠度は1.004で表面は±2mm以下の制度で製造されている。
・浮力材はシンタクティックフォーム(syntactic foam)と呼ばれるものが用いられている。シンタクティックフォームは直径100μm以下の内部が空洞になっているガラス小珠をエポキシ樹脂という高強度の樹脂で固めたもので,深海における高い水圧でも耐久できる強度を持つ。
・船の前方にはマニピュレータと呼ばれる,チタン製のマスター・スレーブ式油圧駆動式の7関節アーム2台が搭載されており,水中で約100kgの物体を持ち上げる事ができる。また,左右に可動式のサンプルバスケットでは100kgfまでの重量の岩石や生物などのサンプルを採取する事ができる。
・水温や水深,塩分濃度を測定できるCTD(Conductivity Temperature Depth profiler)や溶存酸素を測定するDO(Dissolved Oxygen)などの測定器,暗闇でも鮮明に撮影可能なデジタルカメラ1台とハイビジョンカメラ2台が搭載されており,研究に必要なデータの測定や記録を行うことができる。
・深海を照らす投光器は1灯だけで自動車の強力なヘッドライト4個分もの明るさのものが7灯設置されている。しかしマリンスノーなどの海中の懸濁物の影響もあり視程は数m程度となる。
・内部には耐圧殻の前方と左右に覗き窓が設置されており,材料には厚さ7cmものメタクリル樹脂を2枚貼り合わせたものが使用されており,透明度が高く耐久性は非常に高い。さらに,水圧によって変形する耐圧殻に応じて変形する柔軟性も兼ね備えている。
・電源は2004年以降から寿命の長い2台の油漬均圧型リチウムイオン電池が用いられている。以前は酸化銀亜鉛電池が用いられてきた。
・海中ではGPSの電波を送ることは出来ないので,音響航法装置の同期ピンガにより数秒毎に音波を送ることで三角測量の原理によって潜水船の位置情報を測位する。測位方式には母船側から測位するSSBL方式としんかい6500側から測位するLBL方式がある。
・母船との音波を利用した無線通信が可能で,デジタル処理したカラー画像も送信できる。
 
潜航
・潜水時間は8時間まで,夜間の潜水は禁止されており,通常は午後5時までに浮上。
・最大深度6,500mまでには約2時間30分かかる。
・潜水と同じ速度で浮上を行う。
・最大潜水深度である6,500mを超える海域では安全を考慮し潜航が制限されている。
 
支援母船「よこすか」
・しんかい6,500を整備する格納庫や,着水や揚収に用いるクレーン,音波通信を行う設備や研究室などを行う。
・遠洋国際の航行資格を有しており,他国の領海や国交に関わる海域などの場合を除いて,国内外を問わず自由に潜航する事ができる。

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補足情報
・世界で最深の有人潜水記録はアメリカのトリエステ号によるマリアナ海溝におけるチャレンジャー海淵の10,911mであるが1966年に退役となった。この記録には及ばなかったが2012年にはオーストラリアのディープシーチャレンジャーが10,898.4mに到達した。
・しんかい6500のパイロットになるためには一級小型船舶操縦士の資格が必要である。
・2012年3月以降は改良により性能が向上している。
・水深6,500mでは1㎠あたり約680kgもの水圧がかかる。
・1年に1回,JAMSTEC横須賀本部の整備場で約3か月かけて整備工事が行われる。
・電源の使用も可能。
・潜水調査船で個人撮影した画像や動画はJAMSTECに帰属する。