基礎知識データベース

あらゆる基礎知識を収録した情報データベースです。

カテゴリ一覧
医療器具・機器

データ
学名:Tricholoma matsutake
分布:日本,朝鮮半島,樺太,沿海州,台湾,中国北東部および南西部,ブータン

広告


概要
食用キノコとしては最高に位置付けられる大変香り高いキノコで,高級食品として取り扱われる。自ら養分を生成できないため通常はアカマツやツガ,ハイマツ,エゾマツ等のマツ科の根に寄生するが中国の雲南省や四川省ではブナ科に寄生するマツタケも確認されている。マツタケは未だに人工栽培法が確立されておらず,市場に流通するマツタケは全て天然のものである。

構造
基本的な構造は,地表に現れる子実体と、土中にある菌糸、そして寄生したマツ科の根と連絡する菌根からなる。土中にある菌糸と菌根の集合体はシロと呼ばれ、長年に渡りマツタケがこのシロから発生するので「城」または「代」,菌糸が白く見えることから「白」と表記されることもある。
このシロの成長量は年間17~23cm程度で,シロの形成から子実体を発生するまでの期間は約7年と、外生菌根菌の中でも遅い。子実体の発生機序の詳細な解明はされておらず,人工栽培の大きな壁となっている。

食品としてのマツタケ

マツタケの最も特徴的な独特の香りはマツタケオール(1-オクテン-3-オール),桂皮酸メチルエステル,オクテノールなどの揮発性成分によるもので強い風味を生み出す。またビタミンB群,ナイアシン,ミネラルが多く含まれ,国立がん研究センターや東京大学薬学部の抗がん性試験のマウスを用いた実験によればきのこの中では癌阻止率が91.3%と、食用キノコの中では最も高いという結果が得られた。


広告


マツタケの収量減少
現在,国内産マツタケの収量は第二次世界大戦以降、年々減少傾向にある。
最盛期であった1941年は年間12,000t以上もの収穫があったが2007年の生産量は51tにも満たなかった。一方で国内消費量における輸入量の割合は高くなり、同年は97%がアメリカや中国からの輸入によって賄われている。収量減少の主な原因はマツタケの主要な生育場所であるアカマツ林の衰退や老齢化,マツ材線虫病によるアカマツ林の減少などが挙げられる。